2023年8月2日水曜日

三国湊レトロな街並み(3)旧森田銀行

 三国湊レトロな街並み(2)旧岸名家の続きで、さらにその斜め向かいにはレトロな銀行「旧森田銀行」の建物がある。ここは、江戸時代に廻船業を生業としていた豪商森田家が、明治に入って廻船業が衰退すると察知した森田家は、1894(明治27)年の森田銀行を創業し、業種転換を図った。その後、森田銀行は確かな信用をもとに成長し、県内でも上位の優良銀行に成長する。そして1920(大正9)年に洋風のこの建物を本店として落成した。外観は西洋風のレトロな建物であり、県内の鉄筋コンクリート造としては最古のものである。設計は、横浜市開港記念会館を手掛けた山田七五郎氏である。今となっては、この三国の小さな町にこういう立派な建物が残っているのも珍しく、いかに明治・大正のころは三国の町がいかに繁栄していたかが覗える。一見レンガ風だが外見はタイル張りで、上部の石造彫刻も素晴らしい。






































建物の中に入ると吹き抜けの天井、白い漆喰が塗られた壁や柱、7mもの1枚板のカウンター、2階には廻り廊下があり柵が取り付けられている。



















頭取室の中の会議室であろうか?


















各部屋には暖炉が付いており、その石や鉄製の彫刻も素晴らしい。
























こちらの会議室の照明も素晴らしく、カーテンボックスには丁寧な象眼が施されている。床はフローリングに木材を幾何学模様に敷き詰めるモザイク細工模様になった寄木張りで貴賓室の会議室である。


















2階の周り廊下から1階を見る。柵の柱の上の張り出された彫刻も職人技が感じられる。


















天井にある漆喰レリーフは豪華絢爛である。


















この建物は、1993(平成5)年に解体の危機に瀕したが、町民有志の努力により、当時の三国町が保存のために土地・建物を譲り受け、ギャラリーや音楽会などに利用されているという。