2016年2月27日土曜日

東山 旧御歩町付近(1) 町屋塾カフェ十一夜

浅野川の天神橋を渡ってすぐの所を左に曲がると、東山1丁目の旧御歩町付近になる。学生時代にこの辺に昔の友達の家があり、よく来た所である。
この通りのまた少し入った道の全く目立たない所にある、知る人ぞ知る「町屋塾十一夜」という昭和初期に建てられた町屋を改装した店がある。




















玄関には洒落た模様の暖簾が掛かっており、音楽や英会話の教室などの紙が貼られていた。




















中に入ると、女性のマスターが出てきて「今日は2時から21世紀美術館で「しらいみちよ」さんの東日本大震災復興支援コンサートに行くので、時間がないが大丈夫です」と言われ、何とか入ることができた。早速ランチを作ってもらった。この人はある情報で知ったが、知る人ぞ知る有名な舞踊家で、この日も21世紀美術館のコンサートで踊りを踊ると言っていた。




















そして出てきた食事は、非常にヘルシーな感じで、「五穀米」のご飯に、新鮮な野菜中心で、地元のレンコンや大根などに雑穀で合えたおかず、そして大きななめこが入った味噌汁だった。食後に頂いた「甘酒」は、先日このブログで紹介した「高木麹商店」の麹が使われているという。
隣で食べていたお客さんと話していたところ、偶然にも私の息子の家の隣に住んでいる若い家族の母親ということが分った。この人は近くに住んでいて、時々ここに食べにくるという常連さんだ。




















カウンターの横の障子越しには心が和む花が生けられていた。




















カウンターの後は、町屋の4畳半や6畳の部屋などを解体し、繋げたという広いスペースで、ここでいろいろイベントをやるらしい。先日も金沢大学の留学生が大勢来て、純日本的な空間で食事をし、純日本的なを体験したと言っていた。
ここではいろいろなイベントを開いており、童謡などを「和ジャズ」でやったり、金沢弁で語りと踊りをやったりということをしている。
クラシックギターが置いてあったので、少し弾いてみたが、最近全くやっていなかったので指が動かなく、思い通りのメロディーが弾けなかったのですぐにやめた。




















2階の部屋はふたつあり、昭和初期の部屋そのままだという。大きな部屋に洒落た障子戸や床の間があり、書の掛け軸が掛かっており、畳の真ん中に茶釜があった。先日、中国人の団体客が、この部屋で「茶の湯」を体験していったという。




















外へ出て、もう一度家の上方を見たところ土佐漆喰彫刻のすばらしい「白龍」が掲げられていた。
ここは、スローライフ、スロービジネスそしてエコライフをモットーとして、コミニュティの役割ができればと思い店を開いたとのことだ。金沢には、こういう隠れ家的な存在の店がいくつかあると聞く。また、こういう店を見つけて紹介したい。




















2016年2月24日水曜日

海みらい図書館

今回は、金沢西部地区にある、金沢市立図書館としては、四つあるうちの一番最後にできた図書館の「海みらい図書館」に行ってきた。ここは家から遠いので、どうしても近くの泉野図書館へ、あるいは玉川図書館へは時々行っているが、この「海みらい図書館」は建物も新しく、斬新で、すばらしいと聞いていたので、一度は来たいと思っていた。




















白い直方体の建物で、外壁に6000個の丸窓を埋め込んで、太陽光の光りを取り込んでいるという。世界で最も美しい図書館25選に選ばれているというもので、金沢にあるいくつかのデザイン的に優れた建物のひとつである。




















中に入ると、桃の節句も近いので入り口にかわいい雛壇が飾られていた。




















入り口横のギャラリーには、絵画、写真や作品などが並べられていた。そして休憩コーナーがあり飲み物などが飲めるようになっていた。




















図書館入り口を入ると、広々とした総合カウンターがあり、登録してあれば、ここで本の貸し出しや返却手続きをする。交流ホール、集会室やグループ活動室があり、使用申請書を出せば借りれる。館内は通常カメラ禁止だったが、撮影申請書を提出すればカメラを撮ることができる。早速、申請書に記入し許可書をもらった。




















1階に児童図書コーナーがあり、小さな本棚、丸いテーブル、いすが置いてあり、蛍光灯は花のように配置されていた。




















2階は一般図書コーナーで、早速、どのような配置になっているか調べてみた。ジャンル分けも泉野図書館と似ていたので、自分の探したい本は楽に探せそうだ。




















本棚のすぐ近くの窓側にテーブルといすが置かれているので、本の中身をちょっと見たい場合に便利だ。泉野図書館にはこれがないので、本棚の前で立ちながら本を見なければならないので、ちょっと面倒だ。この場所が丸い窓からの明かりで読みやすいだろう。ちょっと外が暗くなれば、蛍光灯をつければよい。




















3階の階段から2階方向を見ると、天井が高く、多くの丸窓で室内は明るく開放感がある。




















3階は私が好んで入る地域情報コーナーや新聞、学習席などがある。ここにもテーブルと椅子があり、本をゆっくり探すには好都合だ。




















真中の筒状の部分にエレベータと階段がある。後で知ったが、この上に周りが暗くなると全体を明るくするためのライトがあるらしい。




















ここでは、金沢市の図書館では初めての「児童貸出機」を備えている。いろいろイベントもやっているので、機会を見てまた利用したいと思う。


2016年2月20日土曜日

「金澤町屋を学ぶ会」(3) 金澤町屋情報館(仮称)工事現場の見学

「金澤町屋を学ぶ会」(2)の続きで、「「金沢学生のまち市民交流館」を見学した後、こまちなみ保存区域の里見町」を見学したが、ここは後日、ゆっくり散歩したいので、そのときに紹介します。その後、茨木町にある金沢市指定保存建造物である「旧川縁米穀店」を修理して、「金澤町屋情報館」(仮称)として整備する予定の工事現場を見学した。ここは、江戸末期に建てられたもので、木造2階桟瓦葺の建物であったという.


























ヘルメットと軍手を着け工事現場の中に入った。ここで、市役所の担当者やここの設計者から現在行っている改修について説明を受けた。




















まず、地盤が軟弱なので土台が傾いていたので、全体をジャッキアップし、水平を出したという。そして柱も鉛直に調整し、傷んだ柱に新しい木材を接ぐ伝統技法の「金輪(かなわ)接ぎ」について、現物を見ながら説明してくれた。古い柱に新しい走れを接木するには「ウグイス」と呼ばれる竹釘を使い、代用に洋釘(鉄製)を使うと必ず錆びるので使わないという。


























また、タケとヨシを格子状に組んで壁の土台を作る「小舞(こまい)」についても説明を受けた。出来るだけ当初の工法を踏襲するという。




















その上に、職人が鏝で丁寧に土壁を塗る作業も見ることが出来た。


























元の状態をできるだけ復元しようということで、古い部材でも使えるものはできるだけ使うということであった。これは古い柱であろうか?


























玄関からすぐのところに土間があり、吹き抜けになっていて、明かり採りの天窓がついている。また、玄関には蔀戸がつけられていたという。




















2階の座敷の間であろうか、床の間、飾り棚や丸障子が入る壁があった。




















工事中は、隣の家に迷惑にならないように、幕が張られていたり、天井などが崩れないように支え棒などを作って、いろいろ配慮がなされていて、大変な作業だ。




















2階への階段が新しく作られる途中ものがあり、階段横には、昔の階段で見たことがある収納のための引き出しや棚が付けられるのであろうか?




















この「金澤町屋情報館」は今年の秋に完成の予定で町屋の活用や定住の支援するための情報発信の拠点となるという。総合窓口(改修・活用などに関する流通コーディネートを始めとする総合コンサルティング)、情報提供(整備事例紹介、人材紹介、物件紹介、講習会の開催など)、空間体験(伝統工法の特徴、再生整備のモデルとして見せる)、文化体験(茶道)、生活体験(イベント開催)などを行う。


























最近は、このような町屋を改修することが多くなっているが、一筋縄ではいかないことがよく分かった。しかし、金沢の観光資源としての町屋を今後もうまく活用していってもらいたいものである。

2016年2月16日火曜日

「金澤町屋を学ぶ会」(2) 金沢学生のまち市民交流館 旧佐野家町屋

「金澤町屋を学ぶ会」(1)の続きで、市役所の職員の説明の後、「金沢学生のまち市民交流館」の「学生の家」の建物の中を見学した。
この建物は当主佐野久太郎氏の本家として1916(大正5)年に建てられたという。当時の佐野家は数多くの農地を所有した大地主で、米を保管する倉庫群や別荘を保有していたと伝えられる。




















建物は主屋と土蔵のほか、表門と築地塀を構える。主屋は街の中心にありながら農家風の平面計画を持つ瓦葺二階建ての近代和風建築で、建物正面に、表わしの束・貫と黒漆喰壁で構成された大きなアズマダチに、その下にはキムスコ格子の出窓が付いていると玄関に「説明書き」があった。この建物は、創建当時の姿をほとんど変えずに現在地に建つ貴重な建造物という。私自身もこんなに大きな昔の農家を町中で初めて見た。




















1階の土間には流しと井戸が残っており、案山子で当時働いていた人の様子を表現していた。長い梯子に登ってアマ(物置)にあるものを取りに行く様子。




















1階の洋室は座敷から見る芸妓などの踊りの舞台として使用されていたという。その芸妓が使う三味線を掛ける台が置かれていた。




















ここの主人が「ビリヤード」が好きだったので、板の間にビリヤード台の脚が載る部分に石が敷かれていたところを残してあった。




















2階の縁側の天井部分やガラス戸の下方部分も手の込んだ作りになっている。








































2階の座敷には、床の間の横の壁は三日月形に抜かれていた。




















また、障子戸の上方の木の部分に「桐の文様」であろうか抜かれていた。この文様を彫るのも大変な技術がいるだろう。




















座敷と座敷の間の上方の欄間の彫刻模様もすばらしい。




















座敷の襖にはゴージャスな金箔が貼られた上に木々の葉に雪が載った絵が描かれていた。


























この金色の襖の引き手には「七宝焼き」が付けられていた。「七宝焼き」は金、銀、銅や鉄などの金属の上に釉薬を乗せたものを、高温で焼成させたもので、美しい彩色を施すものである。そういえば、ひがし茶屋街の「志摩」の引き手にも「七宝焼き」のものがあった。柱の上方にもすばらしい形状の釘隠しもあった。




















建物の中心にある明り採りのための吹き抜けの空間には、珍しく壁が美しいピンク色になっていた。




















土蔵の入口の扉は何重にも段がついた重厚なものだった。




















土蔵の内部の様子。2階もあり、かなりのスペースがあった。大地主であったというから、米俵の他に貴重なお宝も保管されていたことだろう。




















ここは、学生と市民の交流の場として町中に建てられたが、大変すばらしい建物で豪華である。大学は金沢の郊外にすべてあり、どれだけ利用されているのか気になったが、これだけのものを市長肝煎りで作られたと聞いているが、是非、毎日のように有効に活用してもらいたいものだ。

2016年2月12日金曜日

「金澤町屋を学ぶ会」(1) 金沢学生のまち市民交流館

今回は、金沢市役所の歴史建造物整備課の主催で「金澤町屋を学ぶ会」が開催されるということで、片町の「きらら」の裏にある「金沢学生のまち市民交流館」に行った。(1月30日)


























ここの「交流ホール」で30人の参加者が「金澤町屋保存」の取り組みについて市役所の担当者から話を聞いた。




















この「交流ホール」は、犀川の新橋袂にあった「旧料亭かわ新」の建物の部材90%を再利用して建てられたものである。特に80畳の大広間には、緑色の壁で、昔ながらの規格サイズを採用したという障子と天井は日本建築の中で最も格式が高いといわれる「折上げ格天井」で、明かり採りの窓などが付いていた。




















床の間の横には重量が500kgという杉の木の巨大な床柱があった。


























また、右端には「もっこ組」という正倉院にもある細かい細工が施された建具があるすばらしい大広間である。




















旧市内に昭和25年以前に建てられた歴史建造物の「金澤町屋」は、大きな自然災害や戦災にもあっていないことから現在6,000軒近くあるが、その維持の問題や住んでいる人の高齢化もあってか、毎年100軒くらいが壊されているという。しかし、この「金澤町屋」は、金沢における個性的な魅力的な都市づくりに欠かせない存在になっているという。それで、金沢市では「金澤町屋」の維持、継承を目的とする外観の修復や内部の改修工事などに対する支援事業として、「町屋再生活用事業」を実施している。




















金沢市では町屋再生のための補助金を出す制度があるという。店舗や住宅とそれの併合した建物について補助金額やその手続きなどについての説明があった。


























「NPO法人町屋研究会」では、「町屋の情報発信」、「建築士による物件調査」、「改修相談」や「ユーザーの情報収集」などの活動をおこなっている。「町屋所有者」と「町屋購入者・賃貸希望者」と結びつけや円滑に事業を薦めることなどをやっている。


























金沢市では「こまちなみ保存条例」を制定しているが、市内には藩政時代に作られた道路や用水といった町の骨組み、武士の町・町人の町などを残しながら、現代までの市街地が積みかせねられている。歴史的な町並みが残る茶屋街(東山、主計町)と寺院群(卯辰山麓、寺町台)などを「伝統的建造物群保存地区」と指定しているが、これ以外にも、裏通りを歩くと「こんな町が残っていたのか」と思うような通りを見つけることが出来る。
このような「歴史(古)を感じさせる町としたいい町並み」を「こまちなみ」と名づけ、金沢市の歴史を受け継げ貴重な遺産として保存に努めている。
「こまちなみ保存区域」(武士系)として「里見町」、「水溜町」、「旧御歩町」や「旧彦三一丁目、母衣町」などがある。
















「金沢市のパンフレット」より









典型的な武士系住宅の事例




















「こまちなみ保存区域」(町人系)として「旧新町」、「旧天神町」、「大野町や「金石町」などがある。












「金沢市のパンフレット」より













典型的な「商家」の事例




















この「こまちなみ保存区域」は私もあまり歩いていないので、そのうち歩いて紹介したいと思う。