2017年3月15日水曜日

兼六園 成巽閣(3)

兼六園 成巽閣(2)の続きで、その後、2階に上がった。下図は2階の部屋の配置図で、1階と趣は一変する壁は様々な色を大胆に使い、天井の意匠も部屋ごとに変えている。
























「群青の間」はウルトラマリンブルーといって、アフガニスタン産の岩石のラピスラズリ(青金石)で、青色顔料として非常に高価なものであったという。1820年代にフランス人により発明されたもので、成巽閣で使用されたものは日本に輸入されたウルトラマリンブルーの最初か極く初期のものだという。






「成巽閣」の本より












「群青の間」は、金沢では最高級のお客さんの「おもてなし」の部屋として使用され、金沢独特のものとして「北陸新幹線」の先端の色にも使われている。
以前は、成巽閣の他「辻家庭園」のものが有名であったが、最近では料亭やお客さんを招く改修した「町家」など多くの部屋で使われるようになった。



















「群青書見の間」は1畳の上段を設け、付書院の内側には机用の板が付けられ、両側に火燈窓ある。薄紫、緑、青、紅殻色といろいろな色の壁があり、基本は書院造りだが、藩主の好みによっていろいろ趣向を凝らした部屋である。(数寄屋風書院造り)






「成巽閣」の本より












違い棚の床柱には杢目がきれいに現れている。










「成巽閣」の本より













「網代の間」は、天井が網代張りとなっており、障子の中央には当時のオランダから輸入したというギヤマンが嵌め込まれ、部屋から外が見える。壁は朱と石黄を用いたものであるという。






「成巽閣」の本より












1階にある「清香軒」は現在非公開となっているが、京間で三畳台目の茶室で、席入りに明かり障子2枚の貴人口と板戸2枚の躙り口がある。







「成巽閣」の本より
清香軒・清香書院は成巽閣造営当初から建物に組み込まれた茶室で、躙り口から外には漆喰打ちされた広い土縁には自然石が配置されている。「沓脱石」と呼ばれる石には色石が巧みに組み込まれている。
土間庇の中に細流が外庭から流れてきて、また外へ出ていく。これは北陸特有の冬季雪の多い季節に土間庇を露地に使えるように作られたものであるという。







「成巽閣」の本より











「飛鶴庭」は、一般公開されていないので見れないのは残念である。。ここは、一面苔むす平庭に辰巳用水から分水した曲水が流れ、手水鉢、灯篭、捨て石が配されている。五葉松、赤松、高野槇などの喬木、八汐、ウメモドキの灌木が植えられている。
昭和4年に国の名勝指定を受けている。







「成巽閣」の本より











ここにある「六地蔵手水鉢」は金工の後藤程乗作のもので、江戸本郷邸より移されたものであるという。







「成巽閣」の本より