2017年2月15日水曜日

さまざまな金沢伝統工芸品 石川県伝統産業工芸館(2)

石川県伝統産業工芸館(1)の続きで、「金沢和傘」に続いて、その他の伝統工芸品を少し見てきたので紹介する。
まず「大樋焼」が展示されていたが、「九谷焼」とともに、石川県の代表的な「伝統焼物」で、加賀藩が「茶の湯」が盛んなことから発展してきた。「九谷焼」はきらびやかな極彩色のものが多いが、飴色の地味な侘び寂の感ずる器である。
抹茶を飲むには、やはり「大樋焼」の方が合う。



















「茶の湯釜」は、やはり加賀藩が茶道の盛んなところであったので、発展してきたものである。原料に和鉄(昔の鍋や窯のつぶしたもの)を使っているという。



















「桐工芸」は、形を成型し表面を焼き、桐の木目独特の暖かさを出した後、加賀蒔絵の装飾を施したもので、金沢では明治時代からの桐火鉢が有名である。その他花器、灰皿、菓子置きなどもある。



















石川の太鼓は音がよいことで知られている。原木のケヤキやセンなどの乾燥から始める一貫作業によって作られる。直径が60cm以上と大きいので、樹齢100年以上の木を使い、乾燥が半年から1年位させるという。大きいものは5年も乾燥させる。皮の材質は牛の皮で鋲やその他の金具で張られる。特に皮は江戸時代の初期から伝わる技法と手取川の清流によって鍛えられ、優れた耐久性と独特な音色が生み出される。



















太鼓の内部は細かい掘りが施されているが、この彫が音色の決め手になるという。ひとつは、網状鱗彫りで低音が響き、祭りに使う太鼓として使われる。もう一つは、槍形綾目彫りで、太鼓の音のつぶがはっきり聞こえ舞台用であるという。



















「三弦」は通称「三味線」と呼ばれ、邦楽や民謡に欠かせない民族楽器として、芸能遊芸の盛んな金沢で受け継がれているもので、「ひがし」、「にし」の花街界を中心に発展してきた。規格品にあきたらない高級品を求める声も多くなり、あくまで音色を重視するようになってきた。義太夫、常磐津、清元、長唄など、需要にこたえる高度な技術保持者は少なくなっている。材料は固い木がとく、棹の高級品はインド産の紅木、次に紫檀、果林で、胴はすべて果林で、皮は猫または犬の皮を用いる。
























江戸時代には武家の女性の教養のたしなみとして金沢に根付いていた。金沢の琴の特徴は、蒔絵や螺鈿をふんだんに使った雅なものが多く、楽器としてだけでなく装飾品といった趣もある。



















「加賀八幡起き上がり」は「米喰いねずみ」などとともに郷土色豊かな人形で、金沢城下町の暮らしが人形によって伝えられている。天皇の御幼体を赤い綿布でくるんだ姿から発想された加賀起き上がりは、張り子で作られていて、七転び八起の縁起の良い置物として現在でも愛玩されている。



















水引は、金封や贈答品に掛け結ばれる、日本特有の結び紐であるが、金沢の水引細工の特徴は。折らずにふっくらとした姿の美しさにあるという。色とりどりの糸で、自在の造形素材としての性格も併せて持っているという。、結納など祭礼行事には欠かせない伝統今でも生活の場の中に息づいている。
下図は、大河ドラマ「利家とまつ」の最初の両面を飾る水引の「飛蝶」である。



















加賀藩初代の前田利家が被っていたとされる水引で作った「鯰兜」である。「出世兜」として飾り物として置かれている。
























結納品としてに飾られる酒桶につけられた水引で、きらびやかさをだしている。