2015年9月4日金曜日

兼六園 虎石 サンザシ 噴水

数回前のブログの続きで、「ことじ灯篭」を見て、霞が池に沿って右側を少し歩くと「虎石」がある。霞が池の北岸のシイノキの木陰の前にあって、ちょうど虎が前足を低くしてほえている姿に似ているから、その名が付いたという。自然石で能登外浦の曾々木辺りの石である。3代利常が七尾から運ばせて、金沢城の玉泉院丸庭園にあったものを。後年、現地に移したと伝えられている。この石は獅子岩、龍石とともに兼六園の「要石」(かなめいし)で、兼六園を守る「魔除けの石」として知られている。他の要石に比べて一番、その虎に似ている石だと思う。




















その先に、私が好んで休憩する場所がある。人気の「ことじ灯篭」からすぐ近くにありながら、ここまで人があまり来なく、夏の暑いときでも木陰ができて涼しい所なので、のんびり休憩するのに格好の場所である。




















ここから「桜ケ岡」方向に歩くと、いくつも園路が分かれている角に「サンザシ」の木がある。この木はバラ科サンザシ属の落葉低木で、中国より持ち込まれたという。熟すると赤くなる果実は生薬、果実酒、ドライフルーツとして用途があり、盆栽の素材としても好まれているという。5~6月に白い花を咲かせ、黄色い実をつけ秋に赤く熟するという。高血圧、コレステロール、高脂血症など成人病の予防に良いとされる。そういえば、十数年くらい前に片町の「エルビル」の裏に「山査子」という居酒屋で飲んだことがあるが、今でもやっているのかなあ。






















http://www.ootk.net/shiki/TZ~RL/tokiwasanzashiQ3.jpgより

「ことじ灯篭」から「噴水」の方に緩く下る路に沿っていくと、左側に小滝(布滝)と浅瀬がある。ここは小鳥たちの格好に水飲み水浴び場になっているという。夏場は木陰があって、涼しげな場所である。


























この浅瀬の流れの先に、1861(文久元)年につくられた現存する日本最古の噴水がある。この噴水は上にある霞が池を水源にして、自然の水圧で上がっている。水の高さは通常約3.5mで霞が池の水位によって変わる。金沢城の二の丸に噴水を上げるための試作であったともいわれている。13代斉康は、庭園に噴水を楽しむという、従来にはない(欧米にはあったらしい?)新しい庭園の姿をやって見たかったのであろう。




















この噴水を上げている原理的なものは、下図を見ていただければその仕組みは分かると思う。霞が池の水面と噴水がある水面との高低差は5.1mあるが、噴水をどこまでどのように上げようとしたかは、ヒューム管の径やノズルの本数、絞りの組み合わせによって決まるという。その技は必要な噴水量や水頭バランスを計算して各部位を施工したのだからかなり技術レベルは高かったと思われるという。ノズルの周りの筒形台が外形は八角で内径が丸型になっているのも面白い。








兼六園研究会「きくざくら」より











噴水がある池の向かい側に、一面苔で覆われた平地があるが、ここが時雨亭跡である。時雨亭という蓮池庭の上屋敷があったところで、5代綱紀が政務を執ったところである。その跡地に6代吉徳が規模を小さくして蓮池御亭の改修を行った。この御亭では、観楓(紅葉鑑賞)、観月、茶の湯などの宴が開かれていた。この地は綱紀の起居していた所として遺徳を偲び、大切にされた所という。今は往時を偲ぶカシの古木がそびえている。この御亭は廃藩後撤去されたが、2000(平成12)年に長谷池のそばに当時の資料を基に再現されている。