今回は、瓢箪町にある聞善寺と崇禅寺に行ってきた。実は、この近くに徳田秋声の兄の正田順太郎が住んでいた町屋が、カフェやカルチャースペースとして市民に開放されるということを聞いていたので、そこへ行こうと思って来たが、まだ、公開されたいなかった。(6月にプレオープンイベントをやったらしいが)どこの場所か分からず、その家の前をうろうろしていたら、叔母さんとその家族が、「私は長くそこに住んでいた」と言われ、正田順太郎の曾孫と玄孫であることが分かり、その後、少し会話をさせていただき、貴重な話を聞くことができた。9月にオープンするということで、また、あらためて来ようと思う。
そこで近くにある聞善寺を尋ねた。ここは以前「健康ウォーキング」のイベントに参加した時に来たことがある。この時、釈迦如来像の涅槃絵など何点かの押絵を見たことがある。
門の中に入ると、犬が私たちを怪しいものと思い、激しく吠え続けいたら奥さんらしい人が出てきて犬をなだめてくれた。その後、この奥さんからここのお寺についていろいろなことを聞かせてもらった。
聞善寺は俗に「お東」と呼ばれる京都・東本願寺を本山にもつ浄土真宗大谷派のお寺である。14748(文明6)年願西坊により建立されたが、藩の事情により場所を転々としながら現在地に至っている。由緒ある聞善寺の寺宝は押絵が金襴と縮緬(ちりめん)でできているため、大正期より「ちりめん寺」として広く呼ばれるようになったという。毎年春の彼岸会には、寺宝押絵を開帳するのでかっては門前に市をなし賑わったものであるという。
本堂に入れてもらい、本尊に丁寧にお参りさせていていただいた。本尊の前の欄間に木彫りが見事の彫られていた。
本尊の右側には、親鸞聖人や聖徳太子が祀られている。
右側には、蓮如上人やここの歴代の住職の位牌などが祀られているという。
ここの押絵法宝物の作者は水口月照という人で、手の器用さから15歳の頃から押絵の道に志し、全国を転々としながらも金沢の人と結婚し、金沢に居を構え、仏法降盛の土地柄、仏法に因んだ作品をてがけ、明治末期・大正年間と親鸞聖人、蓮如上人、聖徳太子、、七高僧釈迦如来像などを製作している。そしてこれらの初開帳は大正5年聞善寺本堂の再建落慶法要を記念して行われたという。
押絵とは金襴。縮緬などの生地を豪華に駆使し、一つの絵を立体的に造形したもので、江戸時代の手法を仏像画に取り入れたものである。下図は釈迦如来涅槃の図
「聞善寺のパンフレット」より
下図は親鸞聖人御得度の図
「聞善寺のパンフレット」より
ところで、ここの奥さんから「オテラート金澤」というイベントがあることを教えてもらった。「オテラート」とは「お寺」と「アート」を掛け合わせた造語で、金沢在住の作家、学生さんなどによる作品展で、絵画、彫刻、書、陶磁器、漆工芸などの出展があるという。
また、お寺で手作りのアートを体験したり、音楽を聞いたり、講座でいろいろ学んだり、お茶を飲んでのんびり過ごしたりするイベントもあるという。金沢のお寺も最近はいろいろお客さんを集めて活気あるものにしようとしている。金沢に住んでいる人たちも最近は自分の住んでいる所の歴史や文化を知ろうという人が増えてきたよう気がする。
金沢には他の町よりお寺や神社が多いと聞いているが、ここの奥さんは観光客から「なぜ金沢はお寺が多いのですか?」とよく聞かれるという。金沢地区(昔の石川郡、河北郡も含めて)に浄土真宗のお寺が300以上あると言っていた。これも蓮如さんの布教のおかげなのか?
ここの奥さんが一番喜んでいたのが、30代の息子さんが金沢へ帰ってきて後を継ぐことになったということで、若い人にも魅力ある「お寺」にして盛り上げていってもらいたいものである。
寺町寺院群もこのイベントに今年初めて参加するということでそちらの方も動きだし面白くなりそうだ。
遠方の観光客も、兼六園、東茶屋街、21世紀美術館、近江町市場など主要な観光地だけでなく、多くの寺院や神社を訪ねたり、古地図巡りなどにも参加してもらいたいものである。