新宿御苑(1)の続きで、さらに園内を見る。こちらの池は「玉藻池」で、内藤家の庭園(玉川園)の面影が残るという。
続いこのクラッシックな建物は重要文化財の「旧洋館御休憩所」で、天皇や皇族が新宿御苑(当時は新宿植物御苑)内の温室で植物を鑑賞する際の休憩所として1896(明治29)年に創建された。建物は宮内省内匠寮により設計され、アメリカの住宅を中心に流行したスティックスタイルを基調としている。2001(平成13)年に改修し一般公開されるようになった。
「旧御居間」は洋風の室内に藤製の家具を置き、花鳥風月を描いた日本画や盆栽を飾るなど、和洋折衷のくつろいだ雰囲気が演出されている。
「旧次の間」や「旧広間」「旧御居間」は1896(明治29)年の創建以来手の加えられていないスペースである。壁紙などの内装は、わずかな資料などから復元された。
「廊下」は温室に向かう渡り廊下へと続く外廊下だったが、浴室増築に伴いガラス戸をはめ込み、うち廊下に改造された。
「旧御食堂」は温室鑑賞の休憩所として利用が増えたため、お茶や昼餐を撮るスペースとして1921(大正10)年に設けられた。昼餐会・晩餐会もしばしば催しされ、その折には御苑で栽培された草花が卓上を飾った。
1922(大正11)年に増設された。当時のバスタブや照明などの器具が残っている。別棟でボイラー室が設けられ、浴室の際はボイラーマンが来苑して給湯に備えたという。
「旧御厠」は、、便器がなく板の蓋が置かれているだけだった。
新宿御苑は広い芝生もあるが、このように昼でも暗い巨木が生い茂っている場所もある。
風景式庭園の中央に威風堂々と立つのが、新宿御苑のシンボルツリー「ユリノキ」である。街路樹としてはお馴染みだが、明治20~30年代に日本で始めて新宿御苑に植えられたといわれている。
また、ここ新宿御苑は、大正年間には西洋庭園が9ホールのゴルフコースとして利用され「旧洋館御休憩所」が模様替えされてクラブハウスを兼ねていたという。昭和天皇が皇太子時代にゴルフしたという所でもある。
下図のゴルフボールは、1987(昭和62)年に行われた中の池の底にたまった土砂を取り除く工事で発見されたもので、大正時代のもだという。