2021年4月18日日曜日

十間町 谷庄商店 尾張町 中六商店 謎の建物

 前回の上・下近江町の近くの十間町に古美術商「谷庄商店」がある。レトロな洋館と和館が並んだ特徴のある建物である。

その前は安江町に店があったが「彦三大火」で焼けてしまったので、昭和2年にここに建てられたという。洋館の道路側には、2階に上面がアーチ状の3連窓と下には大きな窓になっている。




















谷庄商店は初代が明治元年に本町に創業し、金沢で盛んな「茶道具」を中心に古美術品を販売し、古美術品の鑑定も行っている。2代目が「金沢美術倶楽部」を創設し、会長となって茶道・工芸の町金沢の古美術品を引っ張っている。ピンクの洋館の玄関の戸を開いて「ちょっと中を見せてください」と言うと、現在の6代目らしき人が「どうぞお入りください」と親切に言ってくれた。
























茶道具の店らしく中は茶室のような展示室兼応接室で、壁や床の間、床柱などなかなか風流な雰囲気である。金屏風や掛け軸などもすばらしい。



















ショーウィンドウの中には、高級そうな器などが並べられていた。



















格子窓がいくつもあり、下面は網代模様になっている。部屋の中央にテーブルとソファが置かれ、ここでお客さんとの応対がなされるようである。



















続いて、市姫通に出ると武蔵が辻の近くに江戸時代からやっているという味噌・醤油の店「中六商店」がある。私がよく来た頃は、レトロな雰囲気の店であったが、「市姫通り」を拡張するということで、ずいぶん店が狭くなり店内の雰囲気もがらりと変わった。店の隣には、ここで買ったものをすぐに食べられるコーナーとなっている。近江町市場に近く、金沢駅から東山茶屋街の途中にあるので、多くの観光客が歩いて通るコースである。



















従来からの味を守っている味噌・醤油の他に「あめ」なども並んでいた。



















他に味噌と醤油にジェラートを組み合わせたここの6代当主の娘さんが手作りのジェラートを売っている。



















「市姫通り」の拡張で、さらに隣の「市姫神社」の境内も随分狭くなった。さらに向こうの「加賀の麩不室屋」の本店は、なくなってしまうが、当然次のことは考えているはずで、どこにどんな店を作るのだろうか?



















「中六商店」の隣から後ろにかけてマンションを建てていたが、コロナの影響で工事を全く中断しているという。どうなるのであろうか?
























「加賀の麩不室屋」の本店の裏には、かなり壊れかかった謎の建物がある。
金沢の中心地でありながら、このような家が残っているのは珍しい。ここは、昭和20年代まで小児科医院(?)をやっていたらしい。その医者のお爺さんが亡くなり、その後お婆さんが昭和40年代まで一人で住んでいた。その息子家族は東京に住んでいて、夏休みには帰ってきていた。お婆さんが亡くなってからは空き家になっていたが、時々孫たちがここに住んで清掃などをしていたようだ。



















南京板下見張りの壁面で、上げ下げの窓に上部に飾りがついている。下面の方は縦張りの板でさらに狭い石垣になっている。この建物は明治20年代の頃のものではないかといわれている。



















医院の隣が自宅だったが、ここも荒れ果てていた。2階は出窓が付いているし3階には天窓が付いた小さな部屋になっている。玄関前は鉢などが置かれ簡単には入れない状態である。
























この壊れかかったレトロな建物を改修して、何とか維持して行ってもらいたいものである。