2020年11月16日月曜日

国立工芸館(3)

 国立工芸館(2)の続きで、さらに工芸館内を鑑賞した。

鈴木長吉の十二の鷹は重要文化財であるが、この作品は浮世絵をはじめとする日本美術の海外紹介に功績のあった林忠正が、日本美術の真価を世界に示すために構想し、1893年のシカゴ万博に出品した。制作にあたって鈴木長吉は実際に鷹を飼い写生を繰り返し、また古い絵画や史料を調べるなどして4年の月日を費やしたという。銅を中心に金、銀、赤銅、四分一などの金属そのものの色を生かして色彩豊かに12の鷹が置かれている。




















今回の展示は十二のうちの四、五、六の鷹である。



















旧第九師団司令部庁舎師団長室は、真っ白の天井と照明具そして白い壁の部屋に床には薄紫のカーペットが敷かれている素敵な部屋。そこにシンプルなテーブルの上に鉄瓶の茶釜や茶道具など、また菓子皿と茶椀などが置かれていた。





















窓はクラシカルな建物のそのままの姿である。窓の外には、記念のオブジェが置かれている。
























木が網の目状に作られている壁をもった茶室を模した部屋が置かれていた。中には掛け軸が掛かり、床に抹茶椀や茶壺、鉄瓶などが置かれていた。面白い光景だ。


























左は、三輪壽雪(十一代休雪)の白萩水指

中央は舩木倭帆のプラントレーマー杯とイチゴプラントレーマー―杯

右は、越後上布 市松草花文着尺

上布は細い糸による平織りで、夏衣料に用いられるが、新潟県で織られる上布は最上品として知られ、重要文化財となっている。

左に二つは富本憲吉の作で、「色絵草花文角鉢」と「色絵更紗文捻徳利」その右は、北出塔次郎の「色絵魚貝図水指」右端は初代松本佐吉の「彩果文花瓶」
北出と富本は色絵磁器の製作は、お互いに関連があるという。



















松田権六 片身替塗分漆椀
黒漆の地に片側のみ、朱漆ざっと塗った実験的な椀。片身替りとは、安土桃山時代に流行した手法で、和服の右半身、およぼ袖の左右の模様や色合いなどをを違えて仕立た衣服をいう。やが手この手法は調度や陶器などの模様に応用されたという。



















松田権六 蒔絵槇柏文手箱
箱の蓋を対角線で四分割して、向かい合う三角形の内部にそれぞれぞれの槇と柏を配置した大胆な意匠構成の作品。白漆を背景に繊細な線で描かれた柏は、淡い色合いでまとめられている。一方、槇は輝きの強い金粉を蒔いて華やかな背景としている。明暗、強さとやわらかさなど、対比が面白い効果を生んでいる。



















板谷波山 葆光彩磁牡丹文様花瓶
葆光とは「光を包み隠す」という意味で、薄絹をまとったような穏やかな光沢を板谷独自の釉薬である。
























工芸館の建物を出る時も、まだ長い行列ができていた。当分はこういう状態かも。