「神明宮」では、「茅の輪くぐり」が置かれていた。これをくぐると心身を清めて災厄を祓い無病息災を祈願するというもので、唱えごとを唱えながら8の字にくぐりぬけて拝殿にお参りする。最近、「茅の輪くぐり」が置かれている金沢の神社(尾山神社、石浦神社、宇多須神社など)が多くなったようになったような気がする。
この神社の隣に、古いちょっと寂れた民家があったが、それを改修してきれいな洒落た「町屋」に代わっていたが、建物の上の看板には「懐石 かめや」と描かれていたので、高級な食事処ができるのか?
「西茶屋街」の入口に、ここの茶屋街で少年時代を過ごした、大正時代のベストセラー作家の島田清次郎の作品の「地上」の一部が描かれている。
茶屋街の入口の右手の最初の店である「諸江屋」は、江戸時代からある老舗で金沢で有名な和菓子屋さん。以前ここには、うどん、そばの「お多福」総本店があった所だ。
江戸時代から茶の湯が盛んだった金沢だが、お茶につきもののお菓子「落雁」の看板と古めかしい店の名前が入った「灯り」が付いていて趣がある。
「諸江屋」の隣にある「ほうずき庵」という店には「真田紐」を使ったいろいろなグッズが並べられていた。「真田紐」とは、真田昌幸、幸村が九度山に蟄居中に、信州上田地方で作られていた紬の織技を取り入れて完成させたもので、幸村公は家臣に農耕の傍らこの紐を織らせて、生活の足しにしたり行商をさせて諸国の様子を窺っていたという。行商の際の売り文句が「真田の作った強い紐」であったことから、そう呼ばれているらしい。
茶屋の古い佇まいの2階にこの紐が並べられていたが、染められた後の 乾燥している様子を表しているのか?
角の土塀の所に犬矢来があり、高い松の木の横にその「ひこばえ」か、小さな面白い形の松の葉と下の方を照らす「灯り」が置かれている洒落たコーナーがある。
そこの道を少し行くと芸妓さんの守り神として「妙法地蔵菩薩」という小さな地蔵さんが置かれている。別名は火除地蔵とも呼ばれている。
さらに奥に、蔵と思われる建物があるが、上の方は下見張りの板、腰塀は石貼りで、下部はいろいろな色の石で積まれた石垣となっている。他にもこれと同じ作りの蔵があったが、いつ頃の建物なのか?