今回も、兼六園の梅が真っ盛りとなり見に行った(3月18日)。冬は咲く花が少なく、ようやく少し暖かくなって、最初に華々しく目につく花が「梅」ではないか。初春の息吹が感じられると咲き誇る街に待った花である。
この時期に兼六園には白や紅色の花が咲きほころぶが、桜の花見とは何かしら違った趣がある。
この梅園で一番多い「白加賀」の実は多くが梅干しとして使われるため、県内の障害者施設などに配られるという。
園内の中でも、特に枝も大きく広がった薄いピンクの「寒紅梅」
さらに濃いピンクの紅梅の木
梅にまつわる伝説は多く、特に加賀前田家が先祖とする「菅原道真」の「飛梅」の話は有名である。平安時代に京都から九州・大宰府に流されることになった道真が、日ごろから手入れしていた庭の梅に惜別の歌を詠み、のちにその梅の片枝が主を慕ってはるばる九州までとび、太宰府天満宮の庭の(飛梅)になったという伝説である。これが道真を祭神とする天神信仰となって、各所の天満宮には多くの梅が植えられている。その歌は、「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ」
周りの梅の花を眺めながら、小川が流れている板橋を渡り、飛び石の上をそぞろ歩くのもまた楽しい。
「山崎山」の「花見橋」付近には、龍の形をした自然石があり、「龍石」と言われ、他の「虎石」、「獅子岩」とともに兼六園を守る「三要石」と呼ばれている。その近くに紅色の花弁に白いまだら模様がある椿が咲いているのが見えたが、これを「龍石の椿」と呼ばれている。