アールヌーボ展 国立工芸館(1)の続きで、その後、この建物の中央階段を通った。ここは総ケヤキの階段と柱の上部の漆喰による装飾レーリフが明治時代の面影を残している。
階段を上がると、石川県出身の人間国宝「松田権六」のアトリエが復元されている。2畳の畳敷き+アルファ程度の狭い部屋で、手を伸ばせば座ったまま必要な道具、材料などがすぐ取り出せる配置となっている。上に裸電球がぶら下がっている。
「松田権六」の再現したアトリエの裏に権六の作業風景がビデオで映されていた。ここで、ゆっくりビデオを見せてもらった。いろいろな大きさの彫刻刀や漆を塗る筆がさまざまあって模様によって使い分けていた。よくぞこのような細かい作業をやって、きれいな作品を作ったものだと感心した。
大正時代の杉浦非水の美術誌「三越」や「芙蓉」の表紙デザインで、よく見ると当時のいろいろなものがモチーフとなっている。
杉浦非水の図案集のなかで異色なものが「非水百花譜」で、野山に咲く花を写生して、それをもとに一流の彫師と摺師によって多色摺りの木版画にしたものという。