今回は、尾張町大通りから金沢城方向に1本入った通りを歩いた。
ここは、「旧今町」といってその由来は「今町は新しく町立てされたことによる。今町の年代は不明だが、元禄年間(1688~1704)には上今町、下今町の記録があり、本町の一つだった」という。
この辺りは、金沢城の「新丸」に近く、明治、大正、昭和の初めまでは、陸軍歩兵七連隊が「新丸」にいたので、その頃は商店や、飲み屋、旅館などがあり、賑わっていたらしい。その後静かになったが、最近は武蔵、金沢城、東茶屋街に近いことから観光客などが歩いている人が多くなったようだ。ここには以前からあった「中安旅館」や「やまむろ旅館」などは、金沢駅付近のホテル型の宿泊施設と違って、和風の畳の部屋などが外国人に人気があると聞いた。
ここの通りには、「金澤町家」の建物が多く残っている。3階建てで、一番上の屋根の下には「カゼガエシ」ではなく金具が備えられていた。また左横は切り妻屋根がいくつもある珍しい建物であった。
「旧今町」と「旧中町」の交差点の角にはやはり3階建ての建物で、一番上の屋根は三角でなく平たい部分がある珍しいものだ。どちらも大きな「金澤町家」である。
以前に郵便局があった隣にはこれも大きな町家の「広沢紙店」の建物がある。この建物は100年以上たっていると、ここの店のおばさんが言っていた。
昔はいろいろな紙を売っていたのを覚えているが、今はここのおばさんが手作りで作ったという水引などが並んでいた。
橋場町に近い四つ角に、糸や旗などを取り扱ったという「旧村松商店」のおもしろい建物がある。1928(昭和3)年に建てられた鉄筋コンクリートの建物で、金沢市内では早い時期のもので、金沢市指定保存建造物となっている。角には蛇腹状の翠色の帯装飾があるアールデコ調が特徴である。以前には屋上の搭屋のさらに上に広告塔が建っており、外壁面に多くのイルミネーションがあったという。戦前のイルミネーションが点いている夜景はさぞ見ごたえがあっただろうと想像する。
現在の店のショーウィンドーには観葉植物(?)や洒落た雑貨ようなものが置かれていた。
現在の「村松商事」は、尾張町商店街の「尾張町老舗交流館」の隣にある。明治24年創業というから130年以上ずっと、旗やのぼり、幕、はっぴなどを扱っている非常に歴史のある店だ。