今回は、西町の尾崎神社に向かう通りの左側にある、「旧園邸 松向庵」に行ってきた。
外観は、長屋門を思わせる門と塀が端正な趣を醸し出している。
玄関は、前庭に石塔などがある趣のある近代和風住宅である。私の子供のころには、よくこのような家の玄関を見かけたものだ。そして、最近の私の小学校の同窓会で聞いたが、ここの家に住んでいたという同級生もいた。
ここは、1921(大正10年ごろに羽二重商の本郷長次郎が茶道に通じおり、邸宅を建てる際に各部屋が茶事に使えるように、露地ともども茶道表千家家元の指導を受けて作られた。大正から昭和のはじめにかけては、月例の窯がかけられていたといわれている。
その後は、この建物は園西四郎氏が取得、氏の亡き後は時子夫人の住まいとしていたが、夫人の死後、その道志により平成4年10月、金沢市に寄贈され、平成6年に金沢市指定文化財に指定されたという。
玄関の左手の渡り廊下、土間の奥に土蔵が見える。
10畳の座敷と7.5畳の仏間がつながっており、最近はここで茶会が開かれるという。
その間にある簾欄間
仏間から見える中庭、縁の廊下には風流な手摺がついている。
座敷の横にある水屋は、茶会の時に使われる。
玄関横にある座敷
そこから見える庭には、石灯篭や手水鉢などが置いてある。
座敷から庭を見る前に土縁があるが、その上には長い庇が付いていて、その庇に明かり採りのためか障子が付いていた。
本来の茶室「松向庵」は三畳の狭い部屋であり、裏には「躙り口」もある。今は利用できない。
座敷が3つあり、庭も「前庭」、「中庭」を含めると4つもある、「茶室」をもった大きな住宅ですばらしいものを見た。