大和町広場(3)金沢職人大学①の続きで、各科についてもう少し詳しく紹介する。
「大工」は「住」にかかわる仕事で、大工職人の基本は「規矩術」、つまり「さしがね」を使いこなす技術だそうだ。その最たるものが「金沢城」の築城で、図面をしっかり描いて、「規矩術」を活用してぴったり合うように木を加工するという。金沢の大工職人は腕の良さが現れているという。
「石工」は、例えば石垣の表面加工に使われる「ツル」の刃先造りから始まるという。体力がないと「石工」は務まらない。石垣の修復作業などをやる。昔は石を切るのをノミで直線状に数か所へこみを入れて割っていた。今は電動ノコで水をかけて切っているが、昔のやり方の方が早いと言っていた。下の写真は「粗加工積み石垣」の表面をツルで加工している。
「金沢の町屋」より
「瓦科」は金沢城の「鉛瓦」や社寺、町屋の瓦葺き替えそして一般民家は石置き屋根だったので、それらの実習作業を行う。
特に大きな社寺などの瓦屋根は、昔は手作りの瓦屋根なので1枚1枚多少ひずみや寸法が違うので、それを修正するには大変な苦労があったと思われる。
「金沢の町屋」より
「左官科」は竹で編む「小舞」造りや土壁の粗塗りから仕上げまで塗り方、あるいは「なまこ壁」のような漆喰塗りの実習をする。作業者の鏝の使い方で出来栄えが決まる。民家の部屋の土壁や武家屋敷などの土塀など金沢の屋敷には修繕する所がたくさんある。
「畳科」は畳床や茶室畳の政策実習などをやるという。縦と横交互に積まれ藁を芯にした畳床の表面にイグサを編んだ畳表でくるんだものをいう。それを糸でしっかり結び引き締めていく。その締め方に「機械縫い」と「手縫い」があり、「手縫い」は締め方が調節できるができる人はわずかだという。
「金沢の町屋」より
畳床の材料の藁だろうか?太いものから細いものまで何種類か置かれたいた。。
「建具」は住宅やお寺の間仕切りを作る職人で、間仕切りといっても襖、障子、扉、窓などがある。格子戸もその一つだという。材料を製材して鉋をかけて棒材にしてノミではつっての部材作りが基本だという。桟の合わせ目の方法が素人目にはどうやってやっているのか不思議である。
「金沢の町屋」より
「金沢の町屋」より
長町武家屋敷に「金沢職人大学研修塾」がある。ここには第1期の研修生が造ったという。金沢の医王山や戸室山など山並みを石で表した庭「山景園」や茶室「匠心庵」などがある。