2021年11月4日木曜日

珠洲国際芸術祭(4)珠洲シアターミュージアム 光の方舟①

「禄剛埼」から外浦に輪島方向に走ると、日本海の景色が素晴らしいところがあちこちにある。30年以上前に行ったことがある「木浦キャンプ場」を超えてさらに進み 、ゴジラ岩が見えるところを超えて左手の高台を上がると「旧西部小学校」がある。そこの体育館を改修して、今回の国際芸術祭のために「珠洲シアターミュージアム 光の方舟」を作った。




















中に入るとすぐに「揚げ浜塩田」で使われる「桶」が展示されていた。この先すぐのところに能登で唯一の塩田があるはずだ。
























田の神祭り(あえのこと)は奥能登に伝わる農耕行事である。年の暮れに田の神を迎えてねぎらい「ごちそうはたんとあります。ごゆりと召し上がってくださんせ」とごちそうを出し、2月にたんぼに送り出し豊作を願う言葉を述べるという。その時に使われる赤い御膳であろう。

「よばれ」と呼ばれる祝いの時に使われる赤い御膳がたくさん置かれていた。この赤い器にお酒やご馳走が並び多くの人にふるまわれる、この辺りの行事の一つだ。

様々な形状の貝の標本や、瓶に詰められた色とりどりの小石(?)が置物として飾られている。さまざまのものの容器として使われたびん類や模型の小舟の上には白い球が置かれているし、地球儀などもある。

サンゴのような白いギザギザがあるものはなんだろうか?



















高くて大きな棚には、珠洲市民が百年を超える生活で、使わなくなった家具、什器、備品や民具など大量にあり、それの始末にうんざりしていた人たちに「大蔵ざらえ」をやってもらい、「家じまい」で出てきたものが集められ陳列されたという。



















ここは古くから大陸や朝鮮半島との交流、北前船など介した日本各地との交易、あるいはキリコヤヨバレやあえのことなど民俗・伝承などもアーチストの想像を刺激したという。

恵まれた自然環境と多くの伝統文化を持ち合わせていた珠洲市民の「大蔵ざらえ」によって集められた農耕具とそれらの保管された納屋・蔵に興味を持った作者は、何かに使われてきた農耕具が先人たちの結晶にも思え、欠けや割れ、傷跡がある道具に対して金属を這わせ、新たな景色を作り、未来へ向かうきっかけとして美しさや価値を引き継ぎたいという思いで作った。