今回は、尾張町通の1本裏手の細い道の「旧新町」を歩いた。手前側が「下新町」で、奥のほうが「上新町」である。
この通りの入り口の向かい側に、非常にきれいに改修された町家がある。以前は「壽屋」という精進料理の料亭だったが、すっかり店構えが変わっている。看板がなにもかかっていないが、中はどんな風になっているのだろうか?
石谷家の向かいにも小さな町家がある。入り口横の板塀には鉄輪のようなものがはめ込まれているが、なんだろう?
さらに「石崎商店」は「favori」というレンストランとなっているが、明治20年ごろの建てられた町家である。中央に玄関を持つ珍しいもので、なかのトオリニワはしっかりとした木組みと漆喰壁で構成されている。高い吹き抜けになっており上の天窓から明かりを入れている。
商家の離れとして建築されたもので、明治後期に建てられたものだという。当初は尾張町本通りに面した本家と棟続きであったという。玄関の前の両側の柱は小庇を含めて少し張り出している。2階にも小庇とともに出格子になっており、壁は朱塗りになって粋な町家の風情を醸し出している。
さらに歩いていくと大手門からの道のどん詰まりにある「高田医院」の隣に創業120年の金箔屋さん「カタニ」がある。ここでは「金箔貼り」の体験が手軽にできる店として紹介している。「ひがし茶屋街」にもいくつかあるが、ここは少し離れているので穴場かもしれない。金箔貼りセットとマスキングテープあれば自宅でもできるという。
その隣のレンガが使われたレトロな洋館の建物「沢田医院」があるが、この向かいの駐車場の所に、昭和初期には、あの徳田秋声が姉の葬儀に帰郷した際の出来事である「町の踊り場」の作品に出てくる「ダンスホール」があったという。