21世紀美術館(2025.1)(1)の続きで、さらに無料ゾーンの作品を見る。一番人気のある「スイミングプール」は館内から見えるが、外は雨模様なので誰も出ていない。でもプールの中はたぶん人がいるんだろう。(このプールを見たことない人は、この文章は不思議に思うだろう)
「光の窓」の横には、能登地震で壊れた九谷焼がきちんと並べられたていた。
能美市に「リディスカバープロジェクト」という2024年能登地震により被災した能登の九谷焼と輪島塗の工場や職人の作業場などを救済するためにできたプロジェクトである。この破損した九谷焼をまとめて引き取り、新たに価値を見出し、職場を失った人たちに仕事を続けられるようにした。また、九谷焼と輪島塗は、それぞれ職域の違いから出会うことがなかったが、震災以後に出会うことで新たなオブジェクトとして壊れた九谷焼と輪島塗の職人の手によって新しいオブジェクトとして蘇らせることを目的としているという。
有料ゾーンの長い木の作品がガラス越しに見えるが、何だろうか?
別の部屋では「クリスバーデン」という人物が、コンセプチュアル・アーチストとして影響力を持ち、富や権力、軍隊といった題材をとりあげたものである。
この作品「メトロボリス」は交通機関を代表とした都市の暴力性を表現した。おもちゃのパーツやレゴのブロックで作られたニューヨークのと思われる街に、一方通行の道路にが複雑に入り込んでいる。おもちゃのミニカーが走り回る様子は、絶え間ない流れから逃れることができない現代の状況を表している。道路を一巡した車は最下位で再び回収され、最も高い道路まで戻されるという仕組みが何回も繰り返される。(説明文より)
穴の開いた鉄ブロックをいろいろな方向に基礎柱として立てて、それを基に様々な方向にレールを回しおもちゃのパーツやレゴのブロックなどで建物やトンネルを作り、煩雑な街中を表している。その中をミニカーを走らせるというものである。
ミニカーを時々この中を動かしているが、まだ30分も待たなければならなかったので、残念ながら見ることをあきらめた。こちらの自転車は、2002年に中国の上海に行った時に、中国ではその当時、自転車は移動だけでなく、様々にカスタマイズされて荷物の運搬に用いられていること、食事や憩い、ミシンがけなどの多くの家事、団欒と商業行為が路上で行われていることに注目して、椅子やテーブルなどの家具と自転車を合体したもので、その印象をもとに日本人が作ったものだという。まるで自転車の後ろに昔はよくあったリヤカーを付けているようなものだ。日本ではこんな自転車を見たことがない。
今回は「都市漂流」という題で、都市という川に漂流する一個人が見たものをテーマとして人が頭に浮かんだものを作品とした企画である。有料ゾーンでもあったので、さらに面白い作品が見られたであろう。この21世紀美術館では、現実にはない空想的なものが近代美術として見れるので、時々来てみるのも面白い。