兼六園の中で一番立派な枝ぶりをほこる「唐崎の松」の雪吊が毎年11月1日にあるということで午前9時に見に行った。5本の芯柱が既に立っていて準備万端になっていたが、天気が悪く作業が危険ということで11月4日に変更になった。
11月4日は別の用事があったので今年も雪吊の作業を見れなく残念だが仕方がない。
約800本の縄で枝を吊り、雪の重みで枝が折れるのを防ぐもので、兼六園の冬の風物詩となっている。庭師の一人が芯柱の天辺に立ち、熟練の技で縄をうまく下へ投げ、下にいる庭師がこれを受け取り、枝に結びつける。そして円錐状の形を作り、見た目も美しく、趣深い風情を醸しだす。
「北国新聞」より
11月5日に見に行ったら既にきれいな円錐状の雪吊ができていた。この吊り方を「りんご吊り」という。他に「根上松」などに付けられる「幹吊り」などがある。
「唐崎の松」は霞が池のすぐ上まで這うように伸びているので、ここは庭師が腰辺りまで池に入っての作業となる。
「霞が池」は13代藩主斉泰の時代に造られたが、標高53mの高台にあって水が満たされている景観はすばらしい。池の周りには樹木が美しいので、ここでゆっくり池を眺めていてもあきない。
そういえば、去年、12年ぶりに池底の清掃と護岸工事が行われ、水が空っぽの「霞が池」をはじめて見ることができた。また、藩政期に「百間堀」に水があった頃に、非常事態があった時に堀の水を上げるための「水落とし」という仕掛けを見ることができた。
(2013年7月28日撮影)
霞が池に浮かぶ大きな島は「蓬莱島」と呼ばれ、仙人が住むという不老長寿の島で、神仙島になぞられている。「唐崎の松」に向かって亀の頭をあらわす巨大な石があり、その反対側に尾のような石塔があるので「亀甲島」とも呼ばれている。「唐崎の松」は翼を広げている鶴の姿に見立て、島の亀、松の鶴と「めでたさ」を表しているという。
「霞が池」に浮かぶように造られている杮葺(こけらぶき)の建物は「内橋亭」で、江戸時代には蓮地馬場の馬見所にあったものを明治の初期にここに移されてという。兼六園のシンボルの「ことじ灯篭」と「虹橋」、「霞が池」の借景となっている。
兼六園の開園記念日の毎年5月7日の1日だけ一般公開し、茶会を開いている。また、「霞が池」の夜景を見ながらのコンサートある時などは、ここで演奏している。
「唐崎の松」の近くには曲水沿いに土橋の「月見橋」と赤松の袂に「月見灯篭」がある。ここから見る遠くに連なる山から出てきた月を眺めるのがもっと適しているからその名が付いたという。