2023年6月7日水曜日

21世紀美術館 無料ゾーン見学(2)螺鈿

 21世紀美術館 無料ゾーン見学(1)に続いて、館内の展示物を見学する。

伝統工芸技術の漆の技法の中で「螺鈿」をよくみるが、今回の21世紀美術館のブースの一角に「虚影蜃光」というテーマで、金沢美大と卯辰山工芸工房で漆芸の技術を磨いた「池田晃将」は、SF漫画や映画、ゲームなどの影響を受け、データや電気信号といった実体のないものや想像上の動物を描写する作品を出している。池田は伝統的な漆技法を用いながら、切削機やパルスレーザなどの新しいテクノロジーも導入している。

























「池田晃将」の「電光無量返香合」 漆、鮑貝、夜光貝/木曾檜


















ここで金沢の伝統工芸品の置物によく見られる「螺鈿」について簡単に説明する・
「螺鈿」は、アワビや夜光貝などの貝殻の輝いた部分を薄くして使う。1300ほど前に中国から伝わった技法で、正倉院の宝物にも見ることができる。


















「螺鈿」に使う貝は厚さによって厚貝・薄貝に分けられる。薄貝は青貝とも呼ばれ、砥石で擦ったり煮て薄くしてはがしたもので、厚みは0.1mm以下で、貝の裏に金や銀などで色を付ける裏彩色という技法もある。厚貝は貝を砥石で平らにしたもので厚みは1mmほどだという。
























「螺鈿」の作る工程は、下図のように緻密な作業を伴う。













従来の箱やお盆などのようなものだけでなく、誰でもが親しみやすい例えば昆虫など子供でも興味を引くような題材のものなどに「螺鈿」を使っている。


















「螺鈿」に使われる貝の展示
































緑や青、茶などいろいろな色に光り輝いている貝殻


















その貝殻を細かくしたチップは、虫眼鏡で拡大しないと色や形状が分からない。


















小さな貝殻のチップを漆に載せる為のへらや刷毛、針木砥など道具


















「池田晃将」作品の木地