今回は、一度は行きたかった金沢の奥座敷のレトロな「深谷温泉 元湯石屋」に行った。私は今までほとんどリーズナブルな温泉にしか宿泊していないが、家のものに連れられて行ってきた。今回は、石川県民割引、金沢市民割引付きでかなりお得感があるということである。それも石川県が再びコロナ万延防止重点策として、この割引が中止となる1日前に宿泊した。(7月30日)家から約30分くらいで着いたので結構近い場所である。
創業1789(寛政元)年というから、230年以上経っている。ここは、金沢城から2里以内に温泉場を禁止されていた藩政期に加賀八家の前田土佐守が温泉につかり病気が治癒したことから、藩士や町民が利用できるようにと温泉地が整備されたという。
竹久夢二や近衛文麿、北王子魯山人など文人墨客や多くの県内外のお客さんが訪れるという。
玄関の入母屋風屋根も歴史を感じさせる風流な雰囲気である。
建物の中に入ると、クラシカルなものがいっぱい置かれている。所々に休憩室があり、そこから古風な庭が眺められる。ここで館内から見れるものを紹介する。
「談話室」の休憩所には、テーブルの代わりに擦りごき鉢(?)が置かれていた。洒落た兎を模った照明がまぶしい。
その隣には、古風で重厚な箪笥が置かれていた。箪笥の上のものも風流に飾られている。
さらに小川に苔むした石橋と雪見灯篭などがある。
1階の長い廊下は、さながら美術館のようで洒落た金沢のアンティークなものが並んでいる。
ウィンドーガラスの中には、大樋長左衛門の大樋焼の湯飲み茶わんや徳田八十吉の独特の色彩の九谷焼の壺やその他多くの九谷焼など茶碗や金色の小皿など高級そうなものが展示されていた。
金沢の人間国宝の魚住為楽氏が作った銅鑼か?茶会などの始まりの合図などに使用される。
ここの湯を「霊泉」と絶賛した「近衛文麿」が揮毫した扁額がかかっていた。「近衛文麿」といえば、太平洋戦争の後A級戦犯と指名され後、当日に自殺した元首相であるが、なんと加賀藩14代藩主前田慶寧の孫にあたる人だ。そして文麿の外孫には「細川護熙」元首相がいる。「近衛文麿」はここの湯が気に入って、住まいのある京都まで、大きな樽に詰めて何度も運ばせたという。
後方には、大きな振り子をもった古い柱時計が置かれている。