さらに手取川の下流に向かうと、「不老橋」がある。このお辺りは手取峡谷の中でも最も鋭い峡谷になっているところである。
手取峡谷は、日本海形成時の火山活動によってできた岩石からなる台地で、急流な手取川が下方に削り込んでできた渓谷で、「不老橋」から「黄門橋」あたりが一番の見どころで、約8㎞に渡って続いていて、様々な景色がみられるところである。
橋の上から上流側の眼下の景色で、大きな岩が所々にあり、その岩は穴が開いていたり、穴に入った石が水の流れで回転することによってできた、さらに大きな穴(甌穴)などいろいろな形状のものが見られる。両側からは滝が流れていて見ごたえがある。
橋の下流側も、さらに深く切り込まれ、両側の岩が高くなっており、荒々しい峡谷が見られる。
橋を超えて、小道を少し歩くと「綿ヶ滝」が見える。この滝は小学生の時に遠足で来ていて、大きな滝だったという思いがあり。滝の下に降りたらしぶきが当たって冷たかったことを記憶している。今はその時より水量が多いような気がする。
手取峡谷に滝のしぶきが落下する様が綿が舞っているように見えることからその名がついたという。32mから落下する水量は、特に近くまで行き見ると迫力にに満ち、周囲の景観も格別だという。
「不老橋」のさらに下流に行くと「黄門橋」がある。この橋は峡谷の一番狭いところに架けられた橋で、昔から交通の要所になっていたという。江戸時代には、谷が深いため木造の刎橋で、当時は「高門橋」と書かれていたが、いつしか現在の名前に表記するようになったという。「黄門橋」は「吉野邨領十景紀行」など白山麓周辺の名所を記した江戸時代の紀行文にも紹介されており、その中では、水の勢いも強く、目もくらみ足が震えるほど高さがあると表現されているという。
峡谷の両側の岩壁の上には緑の木々に覆われている。そういえば、兼六園の噴水近くにある「黄門橋」の名前はここの風景に似ているから付けられたという説もある。なんとなくわかる気もする。
兼六園の「黄門橋」
「黄門橋」の下流側の眼下を見る。この辺りの水に流れ幅はかなり狭い。また横の岸壁から、ここにも幾筋かの滝が流れている。
この辺りからは、天気がよければ「白山」も見えるという。