今回は久しぶりに「湯涌温泉」の「総湯」で、のんびり風呂に入りたいと思い、出かけた。その前に「総湯」の横にある「竹久夢二記念館」に入った。20年位前に同窓会の帰りに寄ったことはあるが、中の展示物の内容はあまり覚えていない。
竹久夢二は、絵画、デザイン、そして詩文など数多くの作品を残しているが、その中でも特に美人画を残していることで有名で、その抒情的な作品は「夢二式美人」と呼ばれた大正ロマンを代表する画家である。
竹久夢二は、たびたび転居を繰り返し、その数が60くらいともいわれている。旅に人生を費やした夢二は、金沢は特別な存在であった。
夢二をめぐる女性たちの中でも「たまき」、「彦乃」、「お葉」の三人の女性が大きな影響を与えているという。
その後、夢二は恋人彦乃と次男不二彦とともに京都の猛暑を避け、金沢では柿木畠の藤屋旅館に滞在した。西町の「金谷館」で「夢二抒情小品」展を開催した。画会の成功に母衣町の常盤楼で歓迎会も行われた。彦乃の療養を兼ねて湯涌の山下旅館に3週間滞在した。その間彦乃との愛を深め、山の杣道を歩いて制作に励み、「湯涌は心のふるさと」になったという。
「美人画」のトップは下図の「ほたる」で、日本髪に和風の立ち姿の女性で、喜多川歌麿の「更衣美人図」を思い出させる。豪華な衣装や視線の先には恋文と蛍が描かれているから遊女とみられるという。
下図は何度か見た記憶があるが、「湯の町」(大正6年)は湯涌温泉であろう。
夢二の代表作である「黒船屋」は、菊藤ホテルで誕生した作品である。黒船屋という屋号、黒猫、黄八丈、白い肌・・・それぞれが強い個性を融合し、悠久の名画となった。
原画 楽士(『婦人画報』238号口絵)
「婦人クラブ」の表紙で、「美人画(印刷)」のトップ
「セノオ楽譜No.44「小唄 蘭燈」