2024年9月19日木曜日

歴史博物館 石川県鳥瞰図(1)加賀方面

 今回は、石川県立歴史博物館のレンガ造りの建物が3棟建っているが、そのうちの2棟の建物の内部の手前側にある「石川県鳥瞰図」が掲げられている.














この絵図は1931(昭和6)年に石川県の名勝・温泉などを入れた鳥瞰図を書くために名古屋市の「吉田初三郎」は、吉田の弟子や関連の人たちが県内各地に出向き写生を行った。それぞれの弟子たちが、自分の担当の枠の中で名所や沿線描写し、それぞれを温泉地や観光地の評価に伴い注文主の意向を画面に反映することになった。

それをもとに描かれたのが「石川県鳥瞰図」である。

現物の「石川県鳥瞰図」は縦71㎝、横327cmの大きさで、長い間旧石川県庁(現しいのき迎賓館)の知事室前の壁面に飾られていた。新県庁の移転の伴いこの場所に保管されていたが、2015(平成27)年リニューアルオープンの時に、この場所に複製写真を展示することになった。



















下図は1932(昭和7)年頃の金沢市内の鳥瞰図で、ちょうどその頃に金沢で「産業と観光の大博覧会」があった。この博覧会では、宣伝・広告のあり方が重要なテーマで、その目玉として注目されたのが吉田初三郎の鳥瞰図であったという。

戦前の金沢市内の様子がよくわかる。寺町には「野村練兵場」、本多町には泉が丘高校の前身「第一中学校」、兼六園には「県立図書館」「商品陳列所」などが見える。金沢城跡地は「師団司令部」となっている。南町には「明治天皇行幸所跡」そして路面電車が線路が赤線で描かれている。


























下図は現在も走っている「北鉄浅野川線」で、粟崎海岸まで行っていた。そして「粟崎遊園」がその頃には開園していて掲載されている。




















こちらは今はない「北鉄金石線」で金石から先の大野まで行っていた。こちらには、やはり娯楽の伝道の「とうとう円」が描かれている。


















小立野の奥には「湯涌温泉」があり、「医王山」がそびえている。


















「北鉄石川線」の方は、今は「鶴来」までだがその頃は「白山下」まで伸びていた。私も若い時に白山へ上ったが、「白山下」まで電車で行って、そこからバスで「市ノ瀬」「別当出会」まで行きそこから登った。


















「白山」は、頂上近くは雪山となっていて「室堂」があり、いくつもの峰々や急流の川、朱色で描かれた「岩間温泉」、「中宮温泉」などが載っている。

























「小松」の町には「小松城址」、「明治天皇御在所本蓮寺」が描かれている。また近くに「粟津温泉」、「那谷寺」が載っている。
























こちらはまだその頃は栄えていた「游泉寺」や「尾古屋鉱山」などが乗っており、電車も小松の町から繋がっていた。


















以前は「湯治場」として栄えていたが、この頃は既に温泉地として栄えていた「山中温泉」、「山代温泉」が大きく描かれている。その先の山々の向こうには「福井」さらに「米原」。「大阪」、「東京」まで描かれている。



























こちらは「大聖寺の町」「片山津温泉」「橋立港」などが描かれている。そしてトンネルの先は「福井県」である。