東北地方北部ドライブ(1)の続きで、2日目は仙台から2011年に世界遺産になった平泉に行った。平泉と言えば、平安時代の後期に奥州藤原氏が築いた「黄金文化」の残っているところである。
まず、藤原2代が造営し、3代が完成させたという「毛越寺」に行った。
山門を入るとすぐの左側にある「宝物館」に入り、ここにある重要文化財などを見た。開基は嘉承3(850)年で、慈覚大師が仁明天皇のために東方巡錫の途中に、この地で薬師如来の霊験があり、自作の霊像を祀られたのが始まりという。
江戸時代に平泉全盛期を想像して描かれた古図
ここの観自在王院御堂の石製路盤・宝珠で、創建当時のものが明らかで貴重なものであるという。
本堂は、1989年に建立された平安時代の様式を踏襲した造りで、朱塗りの柱や屋根が特徴である。中には薬師如来像を中央に日光、月光菩薩などが安置されている。寺院前にある大香炉に線香を立てて、丁寧にお参りした。
ここでの見所はなんといっても当時の面影を残す庭園で、そこに大きな池「大泉が池」がある。この平安期の浄土庭園は、池の周りをぐるりと回ると景色が変わる池泉回遊式になっていて、後の回遊式庭園の基本となっている。
平安期そのままの「遣水」(やりみず)があり、当時の遺構としては唯一のものであるという。「大泉が池」に水を引き入れるために造られた水路で、流れには玉石が敷かれ、水切り石、水越石、水分石などの石組みが配されている。平安時代の指導書「作庭記」に載っている石組みなどの様式が余すところで見られる。
本堂近くの「開山堂」は、木造瓦葺の建物で、堂内には毛越寺を開山したと伝えられる慈覚大師の像を祀る大師像や藤原3代の画像も安置されている。
「遣水」の近くにある「常行寺」は秘仏・摩多羅神を安置する茅葺堂である。仙台藩主・伊達吉村の武運長久を願い享保年間に再建されたという。