2013年7月3日水曜日

橋場町、並木町界隈(2)

前回の続きで、すぐ近くに「浅野川稲荷神社」がある。
ここに「宝生紫雪終焉之地」と書いた碑が建っている。
能楽を広めた宝生紫雪は宝生流15代宗家で、11代将軍徳川家斉、
12代家慶(いえよし)の能の指南役だった。その後金沢に戻り、
弟子の波吉宮門(くもん)の世話で浅野川大橋付近の天道寺に滞在し、
門弟を育てたという。ここの宮司に聞いたら、ここの場所ではなく近くに
天道寺があったという。




















神社の横道に入ると、源太郎川が流れている「小鳥屋橋」がある。
(面白い名前なので私でもよく覚えている)
この近くのアパートに小説家の古井由吉が金沢大学のドイツ語の
助手をしていた時代に住んでいたという。
三八豪雪を題材にした「雪の下の蟹」や「踊り場参り」が有名である。
「踊り場参り」は徳田秋声の「町の踊り場」の舞台ををたどるもので、
そのダンスホールがあったところはここから歩いても6~7分のところだ。




















また、川沿いに戻り、少し歩くと、梅の橋付近には、今はマンションに
なっているが、「北国第一」と「北国会館」の二つの映画館が40年くらい
前まであった。
「北国第一」は洋画をやっていて、「ジョンウェイン」、「オードヘップバーン」
や「プレスリー」などの映画を高校、大学時代によく見に来たものである。
それ以前はここに「尾山倶楽部」という金沢を代表する娯楽の殿堂があり、
歌舞伎や芝居をやっていたという。
長谷川一夫、山田五十鈴、エノケン、ロッパなど一流どころの来演も
あったという。
次の写真のマンションのところとは違うかもしれない。正確には分からなかった。




















また少し歩くと、「滝の白糸」の碑が建っていた。
これは泉鏡花の作品の「義血侠血」のなかのヒロイン滝の白糸が
村越欣也に水芸を見せるということから、その水芸をモチーフしている。
像の下のセンサーに手をかざすと水が出てくる。




















ここの道は鏡花の出世作の「義血侠血」の舞台として有名なので
「鏡花のみち」とも呼ばれている。
その先に、「友禅流し」の歌碑があるが、この歌は郷土の乙田修三さんが
作曲したもので歌手の牧村三枝子さんがうたっている。
私もカラオケで何度か歌ったことがある。




















天神橋は昭和30年に建てかえられ鉄筋になっているが、やはり泉鏡花の
「義血侠血」の舞台になっている。
卯辰山に行くにはこの橋を渡っていくのが一番ポピュラーだ。




















帰りに橋場町の喫茶店「禁煙室」で一服した。
ここは昭和55年開店というからかなり古い。そのころ私は東京にいたが、
金沢に帰省して友人と会うときによく利用したが、駅前ビルや広阪
にもあった。
今は名前は「禁煙室」だが、タバコのすえる喫茶店として売り込んだいる。




















橋場町、並木町界隈の散歩(1)、(2)の散歩時間1時間40分、
歩数4300歩でした。

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